突然の交通事故で大切な家族が重い脳損傷を負い、遷延性意識障害と診断されてしまうと、被害者と家族の日常は一変します。介護や治療の方針、今後の生活費、保険会社との示談交渉など、不安と混乱の中で初めてのことばかりが押し寄せ、何から手をつけていいのかわからない方も多いでしょう。
そこで本記事では、家族が遷延性意識障害に陥った際に取るべき対応や、弁護士に相談した方が良い理由などについて解説します。
- 1. 遷延性意識障害とは?
- 2. 家族が遷延性意識障害になった時に考えるべきこと
- 2.1. 被害者の介護・看護の方針
- 2.2. 加害者側への損害賠償請求
- 2.3. 弁護士への相談
- 2.4. 成年後見人の選任
- 2.5. 障害年金の申請
- 3. 保険会社との示談交渉を専門の弁護士に依頼すべき理由
- 3.1. 理由1. 遷延性意識障害の示談交渉は難易度が高いため
- 3.2. 理由2. 適切な後遺障害等級認定と損害に応じた示談金の獲得を実現しやすいため
- 3.3. 理由3. 将来の生活設計に関するアドバイスも受けられるため
- 4. 弁護士費用の相場と費用負担の実際
- 5. 遷延性意識障害の対応は弁護士への早めの相談がカギ
- 6. まとめ
- 7. 遷延性意識障害の損害賠償請求は 「交通事故の相談窓口」にお任せください
遷延性意識障害とは?
遷延性意識障害とは、脳に重大な損傷を負い、意識が長期間回復しない状態を指します。一般的に植物状態と言われることが多く、交通事故の後遺障害の中で最も重い部類です。呼吸や心拍などの生命維持機能は自力で保たれている一方で、言葉を発したり周囲に反応したりすることがほとんどなく、生存のためには食事・排泄・体位変換などあらゆる面で継続的な介護や医療的ケアが必要になります。
遷延性意識障害は、回復の見込みのない「脳死」とは異なり、脳幹の機能が保たれているため、意識が戻る可能性もゼロではありません。治療法としては、電気刺激による脳の活性化、薬物療法、運動や感覚刺激を通じたリハビリテーションなどが行われることがあります。しかし、回復は容易ではなく、仮に意識が戻ったとしても長期的な介護が必要になるケースが多いのが現実です。
家族が遷延性意識障害になった時に考えるべきこと
家族が遷延性意識障害と診断されてしまうと、悲しみに暮れる間もなく考えなければならないことや決めなければならないことが次々と発生します。どれも簡単に答えを出せるものではありませんが、被害者や家族自身の今後の人生にも大きく影響するため、焦らずに情報を整理し、1つ1つ納得したうえで判断していくことが大切です。

被害者の介護・看護の方針
遷延性意識障害の状態が続く場合、長期的な介護・看護体制をどう整えるかが大きな課題になります。入院治療を継続するのか、在宅介護に切り替えるのか、あるいは専門施設に入所するのか、それぞれ医療体制や費用、家族の負担の大きさが異なります。
また、働き盛りの家族が介護に深く関わる場合は、仕事を辞めたり勤務形態を変えたりといった生活全体の見直しが必要になることもあります。介護の担い手を家族だけで抱え込まず、医師やソーシャルワーカー等の支援者と相談しながら、被害者と家族双方にとって最も安定した環境を確保できる方法を模索することが大切です。
加害者側への損害賠償請求
遷延性意識障害では多額の損害が発生するため、加害者側や保険会社に対して適切な損害賠償を請求する必要があります。請求の対象には、治療費・入院費・介護費のほか、被害者が事故に遭わなければ得られたであろう収入を試算した「逸失利益」や、被害の大きさに応じた慰謝料などが含まれます。
総額が数千万~数億円に上るケースも少なくありませんが、賠償金額を適正に算定するには、医療記録や診断書、介護の実態など、専門的な証拠の収集と法的知識が必要です。
弁護士への相談
こうした適正な損害賠償や保険会社との交渉を円滑に進めるためには、弁護士の協力が欠かせません。特に交通事故による遷延性意識障害の事案は、法律面に加え医学的にも複雑な判断を要するため、専門知識を持たない家族だけで膨大な証拠書類の収集・提出や各種の手続き、保険会社との示談交渉を行うのは極めて困難です。
被害者側に不利な条件で示談が進み、本来受け取れるはずの賠償金を大きく下回る金額しか得られなかったというケースも少なくないので、早めに弁護士に相談しましょう。
成年後見人の選任
遷延性意識障害の状態では、被害者本人が自らの意思で契約や手続きを行うことができません。そのため、損害賠償請求や保険金の受け取り、財産管理などの手続きを進めるためには、成年後見人の選任が必要になります。成年後見人は、家庭裁判所の審判によって選ばれ、本人に代わって法律行為を行う権限を持ちます。家族が後見人となるケースもありますが、金銭管理の公平性や法的な複雑さを考慮し、弁護士や司法書士などの専門職が選任されることも珍しくありません。
成年後見開始の申立てには、医師の診断書や戸籍謄本など複数の書類が必要で手続きにも時間を要するため、損害賠償請求の準備と並行して早めに検討を始めることが望まれます。
障害年金の申請
障害年金は公的年金制度の1つで、病気やケガによって生活や仕事などが制限される状態に陥った際に65歳未満の方が受け取れる年金です。日常生活における介助が不可欠な状態が長期間続く遷延性意識障害は、障害年金の支給条件を満たす可能性が高く、将来的な生活費や介護費に充てることができます。
申請には医師の診断書をはじめとした医学的資料や、事故から現在(症状固定時)に至るまでの経過を示す書類が必要であり、その他にも保険料の納付状況などの条件もあります。支給開始は障害認定日(初診日から1年6か月が経過した日、または1年6か月以内に症状が固定した日)の翌月からです。
まずは支給条件を満たすかどうかや支給金額を弁護士に確認し、申請のサポートを受けましょう。
保険会社との示談交渉を専門の弁護士に依頼すべき理由
交通事故に遭うと、加害者が加入する保険会社から被害者やその家族に連絡が入るのが一般的です。保険会社は事故による損害賠償金を支払うための手続きを提案してきますが、提示される金額が必ずしも適正とは限りません。そこで、双方が納得できる金額を探るために行われるのが示談交渉ですが、自身で保険会社と交渉することは簡単ではありません。ここでは、弁護士に示談交渉を任せた方が良い理由を3つ紹介します。

理由1. 遷延性意識障害の示談交渉は難易度が高いため
遷延性意識障害の示談交渉は、交通事故の事案の中でも特に難易度が高いと言われます。損害額が数千万円から億単位に及ぶこともあり、その算定は弁護士によっても見解が分かれるほど複雑です。加えて、保険会社はできる限り支払いを抑えようと交渉することもあるため、被害者側が適正な金額を主張するには高度な専門知識が求められます。
医学的根拠や介護費の妥当性を踏まえて主張を組み立てるには、交通事故案件に精通した弁護士、なかでも遷延性意識障害の事案を扱った経験を持つ弁護士のサポートが不可欠と言えるでしょう。
理由2. 適切な後遺障害等級認定と損害に応じた示談金の獲得を実現しやすいため
遷延性意識障害は、通常は後遺障害等級1級に該当します。しかし、診断書の記載内容や医療記録の不備などがあると、本来受けられるはずの等級が認定されないケースもないとは言えません。
弁護士が関与していれば、医師と連携しながら必要な検査や診断書の補足を依頼し、症状を正確に反映した資料を整えることができます。その結果、適正な後遺障害等級の認定を受けられる可能性が高まり、それに基づいて損害実態に見合った示談金を獲得しやすくなります。
理由3. 将来の生活設計に関するアドバイスも受けられるため
仮に十分な示談金を獲得でき資金面の不安が解消されたとしても、被害者とこれからどのように向き合っていくのか、家族自身の生活をどう立て直すのかといったことに頭を抱える方は少なくありません。その点、遷延性意識障害の事案を扱った経験が豊富な弁護士であれば、過去の多様な事例をもとに、将来の生活設計や介護体制の整え方についても丁寧にアドバイスしてくれるでしょう。
また、生活費や介護費の見通し、それに応じた介護の方法、公的支援制度の活用方法など、長期的な視点での情報提供を受けることも可能なので、将来の見通しを立てやすくなります。
弁護士費用の相場と費用負担の実際
交通事故の示談交渉を弁護士に依頼する際、多くの方が気になるのが費用面でしょう。一般的に弁護士費用の内訳としては、次の4項目に分類されるケースが多いです。
・初回相談料:無料~1時間1万円程度
・着手金:無料~50万円程度
・報酬金:回収金額の10~20%程度
・実費:数千円~数万円程度
このうち最も高額になりやすいのが報酬金ですが、示談が成立して相手方から示談金が入金された後の精算となるので、事前に大金の準備は必要ありません。また、被害者や家族が加入している自動車保険に「弁護士費用特約」が付帯されていれば、上限300万円程度までの弁護士費用が保険でまかなわれるため、実質的な自己負担なく依頼できる場合もあります。
ただし、注意が必要なのは、示談金の受け取りまでに治療費や介護費、生活費などの支出が続くことです。特に遷延性意識障害の場合、後遺障害等級の認定だけでも数か月かかることがあり、保険会社と折り合いが付かずに裁判に発展すれば1年以上を要することも珍しくありません。そのため、こうした自己負担分をどのように工面するかをあらかじめ検討しておくことが大切です。
なお、自賠責保険の被害者請求によって自賠責保険金を取得したり、仮渡金制度を利用すれば、示談成立前でも一部の費用を受け取れる可能性があります。こうした制度を含め、弁護士に相談して早めに資金計画を立てておくと安心でしょう。
遷延性意識障害の対応は弁護士への早めの相談がカギ
遷延性意識障害の事案では、症状固定前からの対応がその後の手続きの進行や賠償金額を左右します。そのため、事故後早い段階で弁護士に相談しましょう。弁護士が症状固定前から医師と連携できれば、必要な証拠や資料の収集はスムーズに進み、適切な後遺障害等級認定と賠償金を獲得するための準備を整えやすくなります。また、示談交渉や今後の生活設計を見据えたアドバイスも受けられるはずです。
医師から遷延性意識障害の診断が下るまで回復を信じたいという思いがある中で手続きを進めるのはつらいかもしれませんが、早めの行動が結果的に被害者と家族の生活を守ることにつながります。
まとめ
遷延性意識障害は、被害者本人だけでなく家族の生活や将来にも深く影響を及ぼす重大な後遺障害です。受け入れがたい現実にショックを受ける中、介護方針や資金計画の検討、法的手続きなど、多岐にわたる課題に直面することになるでしょう。
そんな時だからこそ、迷わず専門家に助けを求めましょう。交通事故や後遺障害の事案に詳しい弁護士に早めに相談すれば、適正な損害賠償請求を実現しやすくなるだけでなく、目の前の状況や今後の対応を客観的に整理してもらえるので、気持ちの面でも楽になるはずです。
遷延性意識障害の損害賠償請求は
「交通事故の相談窓口」にお任せください
交通事故による遷延性意識障害の事案では、後遺障害認定・損害賠償・成年後見手続きなど、被害者家族だけで対応するのは困難です。
「交通事故の相談窓口」では、被害者家族に寄り添ったベストなご提案をします。初回相談は無料なので、まずは悩みや不安を打ち明けたいという方もお気軽にご連絡ください。
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